うんこ

うんこをした。
お尻をふいた。
トイレットペーパーにうんこがついた。
二、三回ふいて確認するとまだたくさんうんこがついていた。
うちにはウォシュレットがついている。


僕がウォシュレットデビューしたのは、21世紀初めの4月だった。
もしかしたら5月かも。いや、6月だったりして。
場所は寮の6階共同トイレだった。
まくらと同じで便器が変わるとうんこの出が悪い。
てかまったく出なくなったりする。
慣れないと出るものも出なくなってしまう性質である。
出が悪いとふんぎりが悪くなる。
すると、何回ふいてもうんこがついてくる。
ふいてもふいても、お尻の穴がすり切れても、ついてくる。
うんこをするのが億劫になる。
それだとまずい。
お腹の左側が痛くなる。
じゃあどうするか。
ウォシュレットしかないだろう。


ある時、同じ寮の友達からウォシュレットはもう使ったかいと聞かれた。
答えはNOだ、と僕は答えた。
すると、めちゃくちゃ気持ちいいからやってみるべきだと強く勧められた。
やるにしても、共同トイレだ。
誰が使っているかも分からない。
まあ寮だから誰かは分かるが、自分がウォシュレットを使うことになれば、その前にウォシュレットを使った他人、しかも男、のお尻の穴と僕のお尻の穴とが水を媒介にして間接的に触れ合うことになってしまうんじゃないだろうか、いやその前のやつのうんこがウォシュレットの口についてしまっていて、いつの間にかそのうんこが僕のお尻に付いてしまうんじゃないか、そう思った。
まあいいや。
使ってみた。


使った瞬間、あまりの衝撃に便座から飛び上がってしまった。
気持ち良すぎる。
しかもきれいにうんこが落ちる。
やるじゃないか。
それからウォシュレットの虜になった。
こいつなしではやってけれない。
しぶというんこも一発だ。


それから、五年間は居住空間にウォシュレットはご無沙汰だったが復活した。
今ではうんこをするたびに使っている。
だが、ウォシュレットにも問題がある。
と言っても問題があるのは、僕のお尻の穴の方なんだろうが。
最近、ウォシュレットにお世話になるとまたすぐにお尻からうんこがしたくなる。
ウォシュレットに刺激されて奥に潜んでいるうんこが出てくのかと思って踏ん張ってみる。
すると、じょろじょろとお尻から水が出てくる。
別に下痢とかじゃない。
どうやら、お尻の穴がウォシュレットの水を吸収しているのだ。
どういうことなんだ。
吐いたり、吸ったり、ものすごくやっかいな穴である。